お爺さんとニシンのパイ

どうもどうも、Falmouthに引っ越してきてから2回目のブログ更新です。

日本の皆様いかがお過ごしでしょうか。

こっちは少しずつ寒くなってきました。とは言ってもまだダウンジャケットは不要なほどには暖かく、人々は皆、暗い冬を迎える前に、目一杯太陽の光を浴びようとしています。

勉強の方も順調に進んでいて、今は基本的な構図やガジェットの機能確認、生物学の基礎って感じで、まあなんとかついていけてます。

レクチャー(大きな講義室に詰め込まれて話を聞く授業)と、ワークショップ(カメラを持って外に出て実際に写真を撮る授業)とが半分ずつくらいあって、ちょうどいいですね。

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授業中に撮ったリス。キャンパス内にも色々な動植物が共存していて本当に面白いです。
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フラットメイトたち。みんな年上、まさかの下っ端です。

今週はサーフィンに行きたかったのですが、近日ダイビングの予定があるので怪我したらまずいってことで、週末はカフェで読書したり、写真の編集したり、大学主催のヨガ教室に行ったりして過ごしました。

大学から街の中心街まではバスで20分ほどかかるのですが、今日はそこであった話を少し。

土曜日の昼前、僕は中心街のカフェに行こうと、小雨降る中カメラ片手にバスに乗り込みました。車内は意外と混んでいて、僕の座った席の通路を挟んだ反対側にはお爺さんが一人。

僕の大きなカメラを見て、そのお爺さんが一言「君はPhotographerかい?」

「はい、Falmouth大学で勉強してます」「そうかい、どこから来たの?」

「日本からです、最近までチェルトナムに1年間住んでたんですけどね」

「へえ、遠いところからようこそ」こんな風に会話は始まって、お互いが降りるバスの終点に着くまで、僕とお爺さんは話し続けました。

町の歴史のこと、眺めのいい場所、美味しいレストランなど色々教えてもらい、一緒に笑いながら時間を過ごして、バスは終点へ。

するとお爺さんがおもむろに、バッグから、ビニールで梱包された新品の薄い雑誌を取り出し、僕に差し出しました。

チラッと見たところ、タブロイド、芸能ゴシップ的なことが書いてある、日本で言うところの週刊文春的なもの。

「これを君にあげよう、じゃあ良い一日を」

僕は思いました。

 

 

「うわあ、マジでいらねえ」と。

 

 

でも、「ありがとうございます、感謝します」と言って受け取り、リュックに入れました。

きっとお爺さん、俺が受け取るのを拒否したら悲しむと思ったので。

映画『魔女の宅急便』に、良かれと思ってニシンのパイを焼いたお婆ちゃんの目の前で、娘が「私このパイ、嫌いなのよね」と言い放つシーンがありますよね。

僕はあの瞬間、このシーンを思い出したんです。娘の気持ちも分かるけど、きっとお婆ちゃん、悲しかっただろうなあと。

食べなくてもとりあえず受け取って、あとで捨てるなり他人にあげるなりすればよかったのにって。

僕も映画の中の娘のように、優しい嘘をつけなかったばかりに、たくさん人を傷つけてきたんだろうなと思います。

なので、今回は、とりあえず受け取ってみました。贖罪の気持ちで。大した荷物にもならないし(笑)。

分かり合えないからこそ、今この瞬間に他者を思いやる。

どうしてかは分かりませんが、きっとお爺さんは、何かを僕にあげたかったのだと思います。

でも、その雑誌しか他にあげられるものはなかった。

僕はお爺さんとわかり合うことはできないけど、思いやることはできました。

ほんの少しだけ、大人に近づいた瞬間(笑)。

僕がその雑誌自体を読むこともなければ、そのもの自体に感謝することもないでしょう。

でも、僕はずっと大切に持ってますし、それを見るたびに、あの優しいお爺さんの顔を思い出します。もう名前も覚えてないけど(笑)。

 

未来に素敵な想い出を吹き込んであげる為の大小の思いやりと親切心を。

そこに笑顔と活気をもたらす仲間、安らぎを与える家族や恋人に。

良い一週間を。お仕事学校、行ってらっしゃい。

ではまた来週。おしまい 🙂

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またどこかで会えるかなー。

 

今週も短いので、そのとき撮った町の写真を何枚か。

 

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好きな場所
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古着買ってしまった。
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バス停で話しかけて写真撮らせてもらったボーダーたち。